ACM 空戦機動解説

[資料室に戻る]


【空戦機動 目次】

このページでは私(Flare)が実際に有用だと思った空戦機動に対して、独断と偏見を交えて解説していきます。殆どの機動は世に広く知られているものですので問題ないと思いますが、フライトシムを始めて間もない方など初心者の方は、まず「初心者の方へ」の項をお読み下さい。

【注意】本HPに掲載されたムービーについては、基本的に無断転載禁止とします。

初心者の方へ

基本機動

防御系機動

攻撃系機動

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■ 初心者の方へ

空戦機動とは、簡単に言えば空中戦をする上での「飛び方」です。
空中を飛んでいる飛行機は、3つの舵(エレベータ、エルロン、ラダー)の操作で色々な飛び方ができます。
普通に空を飛んでいるだけなら良いのですが、空中戦では相手が居ますので、単純に飛んでいればいるほど、被弾しやすくなってきます。
だからといってヤミクモに急旋回したり、急降上昇したりしたらどうなるでしょう?
大抵の初心者の方は
ブラックアウトしたり、失速したりして最後には追い詰められて負けてしまいます。

飛行機は3舵の使い方によって、設計者も想定してなかった特殊な飛び方ができます。
その為、
空中戦で勝つ、あるいは生き残る為には、どういう飛び方をすれば良いのか、つまりどんな舵の使い方をすれば良いのか等を、実戦の教訓や理論などで昔から熱心に研究されてきました。
その結果、状況に応じた色々な飛び方(機動)が生まれ、それには名前(機動名)が付けられて、「空戦機動」として知られています。

ここでは、私が実際に試して有用だと思ったものに関して紹介していますが、他にも色々な機動があります。また、機動とは状況に応じた舵の使い方によるものですから、自分で編み出した空戦機動(技)を作る事も可能です。

当時のパイロットやこのゲームのプレーヤーも、自分独自の技(空戦機動)を持っている人がいます。
(故)坂井三郎氏の「左捻り込み」等は有名ですよね。

空戦機動を使う目的は前述の通りですが、各種機動には大別して「防御系機動」と「攻撃系機動」の2つがあります。使い方によっては、どちらにでも利用できる機動もありますが、防御系機動とはその名の通り相手に打ち落とされないような飛び方をする機動で、攻撃系機動は、相手を攻撃する時に使う機動です。

ここで重要な事は、どの機動も 「状況に応じて使う」という事です。つまりは「使いどころが肝心」という事ですね。
例えば、エネルギーが少ない状況で 相手を攻撃したいからといって、エネルギーをロスする攻撃系の機動を使えば、その機動の効果は発揮できず、逆に不利になるかもしれません。

空戦機動は、まずその機動の特徴を理解し、状況に応じて使い分ける事により、自分の
エネルギーロスを極力少なくしながら、いかに相手より優位な状況を維持し続けるか、というのが一番重要です。

その為には、刻々とめまぐるしく状況が変わる空中戦において、自分と相手との状況判断力も重要になってきます。
初心者のうちは中々そういう状況判断が難しいものですが、「相手の機種は?」 {相手の速度は?} {相手の高度は?} {今相手は何を考えている?}など、できるかぎり相手に対する情報を得るよう心がけましょう。そのうちにだんだんと わかるようになってきます。


状況判断が正確にできるようになれば、「相手はもうフラフラだし、他に敵機も居ないから、この機動でしとめよう」とか、「距離が近いからこの機動を使うと今はいいが、その後がヤバイな」とか、状況によって使える機動とそうでない機動がわかるようになってきます。

そのうち慣れてくるとパパッと一瞬のうちに状況判断ができるようになってきます。そして正しい状況で正しい機動を使えるようになれば、何も考えずに飛んでいる人と比較すると、言い方は悪いようですが、まるで大人と子供の戦いになってしまいます。言い換えれば、空戦機動を知らず、状況判断が正しくできない人は、それが出来る人には何年かかってもまぐれ以外には勝てないのがこのゲームなのです。(もっとイージーなゲームにおいてはその限りではありません)

纏めますと、以下が空戦において重要となります。

・空戦機動をどれだけ知っていて、それをどれだけ確実に行えるか
・状況判断を素早く正確にし、その状況に応じた空戦機動を使う事ができるか
・自分の乗る機体と相手の機体の特性をどれだけ知っているか

特に機体の特性については、空戦機動を行う上でぜひ知っておきたい知識です。
それは、機種によって上昇力や急降下速度の制限、失速特性などが大きく違う場合があるからです。
例えは、同じ空戦機動を零戦とP-51でやるとした場合、旋回力も失速速度もまるっきり違いますから、舵の使い方やタイミングなど、かなり違ってきます。

機体の特性は本かインターネットで探せば大体見つかる世の中ですので、最低限 自分の乗る飛行機だけは以下を調べて知っておくと、機動を練習する上で非常に役立つと思います。
もし、そういうデータが無かった場合は実際にゲームで飛んで確かめてデータを取るしかありません。
垂直急降下したらどれくらいの速度で壊れたか、どの速度でどれくらい急上昇したらブラックアウトしたか、どれくらいの速度が一番速く旋回できるか(1周するのにかかった時間)など、手間はかかりますが 一番手っ取り早いやり方ですね。


・一番効率的に旋回できる最適旋回速度(コーナー速度とも言います)
・最高速度
・急降下制限速度
・機体強度(具体的な数字でなくても、頑丈、弱い等のイメージでも良い)
・失速速度(どのくらいのスピードで失速するか)
・失速特性(失速したら、回復は容易か、困難か程度)

・飛行特性の良いところと悪いところ
(例えば零戦は低速時の旋回性能は良いが、高速時には舵の効きが悪い、など)

[目次に戻る]

■ 基本機動

※各機動名をクリックするとその機動の室内と機外から見た動画を見る事ができます。

宙返り(LOOP)
・基本中の基本である普通の宙返り機動ですが、ちゃんと正確に機動しようとすると、結構難しいものです。
もちろん、曲技飛行をやるわけではないので正確な円にならないといけないとかではありませんが、殆ど全ての機動の基本部分を含んでいますので、ぜひ練習して綺麗な円をかけるようにしましょう。
・まず、機種により
宙返りを開始する時の最適な速度が異なりますので、これを把握する必要があります。
その速度を導き出す基準としては、開始高度と終了高度、開始針路と終了針路が同じになる事、そして頂点付近での速度が失速スレスレでない事の3つです。

例えば、零戦21型では高速時の舵の効きがよくない特性を持っていますから、時速500km/hで宙返りを開始すると、大きく膨らんでしまいますし、無理してスティックを引けば、ブラックアウトで真っ暗になってしまうかもしれません。
逆に
開始速度が低すぎると、上昇時に失速する場合や、かろうじて頂点まで上がったとしても、その時にはフラフラの状態で次の操作に移ることが困難になり、状況によっては、格好の的になってしまいます。
まずは自分の乗る
機体で、色々な開始速度を試し、上記3つの基準が満たせる最適な開始速度を把握しましょう。
慣れてくれば、速度計を見なくても普通に宙返りできるようになってきますが、なるべく開始前には速度計をちらっと見て速度を確認しましょう。特に相手に6時に食い付かれた時は 大抵焦って本能的に急
上昇する人がいますが、失速したり、ブラックアウトしたりしたら、それこそ次に待っているのは「負け」の2文字だけです。

斜め宙返り
・水平飛行から左右どちらかに45度程度ロールし、そのままのロール角で宙返りする機動です。
・普通の宙返りより、追従する相手から見ると射撃しにくい事と、エネルギーのロスが少ない事が特徴です。
・宙返り同様、乗る機体の最適な開始速度で開始する必要があります。
・最適開始速度の把握は、宙返りと同じ3つの要素で把握します。
・特に頂点付近では機体が傾いている上に速度が落ちるため、横滑りやプロペラトルクなどの物理的作用が強く現れますので、うまく舵を使って修正しながら行う必要があります。(その最終的な目的は斜め宙返りから自分の思った位置へ機体をコントロールできるようにする事です)
・多くの機動に使われますので、ぜひマスターしてください。

スプリットS
・水平飛行から左右どちらかに180度程度ロールし、背面の状態からスティックを引いて背面急降下、そのままスティックを引き続けて水平飛行に戻る機動です。
・開始時の最適速度と引き起こし速度、開始から終了までに必要となる高度の落差を練習で把握しておく必要があります。
・開始速度が高すぎたり、遅すぎたりすると180度ロールが緩慢になり、6時に相手がいる場合はそこを狙われます。
・背面降下に入ってから、どの速度で引き起こせばブラックアウトや、過速になって膨らんだりしない速度を探します。
・最適開始速度と最適な引き起こし速度で機動終了した時の落差(開始高度から終了高度までの差)を把握します。把握してないと、高度不足で地面や水面に激突する事になります。

インメルマンターン
・水平飛行からスティックを引き、宙返の頂点で180度ロールし、水平飛行に移る機動です。
・第一次大戦の撃墜王、インメルマンが発案したとされる 非常に有名な機動ですね。ただし、余談ですが この機動と彼自身が発案した機動とは違うという説もあります。
・速度があって高度が欲しい時、且つ180度ターンしたい時などで使います。
・エネルギー消費が激しい為、開始するときの最適速度を知っておく必要があります。
・理想は180ロールして水平飛行に戻った時、次の機動に素早く移れる速度が出ている事です。
・相手に追従されている場合、上昇中の軌道を読まれて下から見越し射撃で背中を打たれる時がありますので、相手との距離の把握が重要です。

テールスライド
垂直上昇の姿勢のまま、エンジンを静かに絞り、速度ゼロで失速させ、その姿勢のまま垂直に降下する機動です。
・曲技飛行で行うテールスライドと動画での例では失速後の機体の姿勢など、多少異なりますが、理屈は一緒です。
・実戦で使う場合は状況が限られますが、
 各機体の失速特性を知るためにも、ぜひ練習してみて下さい。
・機体が垂直状態のまま長く落下すればするほど完璧に垂直姿勢を維持できている事になります。
・失速直前の機体コントロールにより、テールスライド後の向きを変える事ができます。

ハンマーヘッドターン
・テールスライドに動きが似ていますが、全く操作は異なります。
垂直上昇からスロットルは全開のままで 速度がゼロになる前に、垂直上昇姿勢から一変、機首をガクンと下にして垂直降下姿勢に移る機動です。
・テールスライドと違い、ハンマーヘッドターンは最初から最後まで3つの舵でコントロールできる所が違います。
・バリエーションとしては、エレベータを使って機首を水平に落とす機動もありますが、降下姿勢になった時に一瞬慣性でコントロールできなくなる場合があります。
・当然背後に相手がいる場合、相手との距離が近いと格好の的になりますので、相手との間合いが重要になります。

シャンデル
・水平飛行から左右どちらかに45度程度ロールし、宙返りした頂点で180度ロールし、水平飛行に移る機動です。
・インメルマンと似てますが、インメルマンは宙返りの要領なのに対して、シャンデルは斜め宙返りの要領で行います。
・その為、インメルマンより
エネルギーロスを抑える事ができます。
・例えば、1機はインメルマンで、1機がシャンデル機動を、同じ機体、同じ開始エネルギーで同時にしたとすると、180度ロール完了後のエネルギーに差ができるのと、シャンデルの方が速く、小さく回る事ができるので、応用範囲が広がります。
・その他の特記事項は斜め宙返りと同様に機動します。

ウイングオーバー
左旋回では、水平直線飛行からやや上昇しながらラダーを左に徐々に入れていき、一番旋回の中心でバンク角は90度、ラダーは一杯、そこから逆に高度バンク角を浅くしながらラダーを抜いて行きます。機動終了時には、180度反転した状態で水平飛行に戻る形になる機動です。
・この機動は相手が6時にいた場合は相手より長い距離を飛ぶ事になるので、オーバーシュートを狙える事と、案外エネルギーロスが少ないため、相手が前にいて距離を詰められない場合でも、うまく使うと距離を縮める事が可能になります。
・この機動はシザース機動やローリンク゛シザース機動など、多くの機動で使われていますのて、ぜひ練習してみてください。
・練習する場合、相手に6時に同速度で付いてもらい、軌道完了後に相手の背後について 且つ、相手より速度が上で追いついていく事ができれば成功していると言えると思います。

[目次に戻る]

■ 防御系機動

※各機動名をクリックするとその機動の室内と機外から見た動画を見る事ができます。

ジンキング
・左右、斜め、上下のバリエーションがありますが、基本的に どちらかに垂直旋回後180度ロールし、逆方向に垂直旋回後180度ロールして逆方向に垂直旋回を繰り返す、いわば「急激なジクザク運動」です。
・相手に6時を取られてしまい、振り切れない状況で使用します。「ほぼ絶対絶命」の状態ですが、相手によってはこの機動で5分の状態まで持っていくことができ、さらに状況次第では、逆転も可能です。

・なるべく素早く反転する必要がありますから、プロペラトルクの作用をがある方向に旋回する時はスロットルを一瞬絞るとより早くロールできます。
・同じ理由でロールと同時にラダーも旋回方向に入れ、ロール速度を速めます。

・コツとしては、垂直旋回後、6時にいる相手の動きを観察し、相手がこちらの旋回に合わせて機体をロールしだしたら、すかさず逆方向に垂直旋回する事です。
これを繰り返すと、どうしても人間が操作する関係上、逃げる側が反応してからわずかに旋回に入るタイミングが遅れますので、それを繰り返す事で自分と相手との位置関係をどんどんずらしていくのが目的です。

うまくいけば絶対絶命のピンチから、相手とヘッドオンの状態に持っていく事ができます。
・動画では水平方向でのジンキングを行っていますが、交差するときに相手の射撃を受けやすい事と、低空ではエネルギーがすぐに底をつく事に注意しなればなりません。
・高度がある場合は少し高度を落としながらすると持続できます。

お勧めは、左斜め上に急上昇しながらスライスターン気味に180度反転し、右斜め下に急降下、180度反転してまた左斜めに急上昇するバーチカル ジンキング機動が最も効果的かもしれません。が、相手と状況にもよります(W


・相手の機体が自分よりロール性能や旋回性能が良い場合や、パイロットの技量が高かった場合、ますます不利な状況になりかねませんので、2〜3回ほど繰り返してぴったり付いてくる場合はエネルギーが尽きる前に別の機動に移るのが得策かもしれません。

シザース
・相手の後ろをめがけてなるべく深い角度で交差し、180度反転後 すぐに垂直旋回して、相手の後ろをとりに行く機動です。
・相手からの攻撃を回避できて相手と自分の距離が離れたが、すぐに後ろを取られそうな相手で高度もあまり無い状況では防御系として使います。
・当然相手が直進飛行していれば逆転できますが、相手も6時を取られまいと同じ機動に入りますので、垂直旋回の応酬になるのがこの機動の特徴です。
・ポイントは、交差する直前になるべく小さく早く旋回に入る事です。遅れれば遅れるほど相手は後ろに食いついてきます。
・相手の機体がロール性能や旋回性能に優れている場合や、相手の技量が上だった場合は、2回くらいの垂直旋回で大体予想が付きますので、別の機動を考えます。
・逆に相手との距離が離れていて高度が無い場合、深い交差角で交差後同様の機動により敵の後ろを取る攻撃系の軌道としても使えます。
・単純に水平垂直旋回を繰り返すと、射撃のうまい相手だと交差時に被弾しますのて、高度差を多少つけて交差します。
・大抵は、この機動から後述するローリンク゜シザース機動に入っていきます。

バレルロール
・まずは動画を見て下さい。
どちらか乗る機体の得意な方向(零戦なら左)にラダーを適量入れ、ロールしながらスティックを引いていく機動で、螺旋運動になります。
・相手がエネルギー優位で、どんどん近づいてくるような場合や、射程距離に入られてしまい このままだと撃たれてしまうような状況の時に使います。
・急激にスピードが落ちる事と、螺旋運動により相手より長い距離を飛ぶため、うまくいけば相手を前に押し出す事ができる場合もあります。

ローリングシザース
・シザースに縦方向の動きが加わった機動で、螺旋を描くような形になります。
・まず斜め宙返りの要領でどちらかに上昇し、ゆっくりとバレルロールの要領で、機首が下をむき出したらウイングオーバーやハンマーヘッドターンに近い操作でラダーを操作し、急激に機種を下に向けてロールしながら降下を開始します。この時、相手との距離に注意して下さい。
エネルギーに差がありすぎたり、距離が離れすぎていると、上昇時に撃たれてしまいますが、敵の射程距離内でエネルギーがほぼ同等の場合、こちらを射撃できるギリギリの所でこちらが機種を急激に下に向けますので、相手は撃てません。最適な高度と速度が降下する事により得られたらロールしながら上昇に入り、開始した時のロール角度まで戻ったらロール角度を少なくしてしっかりと上昇し、最初の操作に戻って降下に移ります。

・殆どの場合、技量が同等で機種の性能も同等、高度があまり無い場合で交差角が取れる場合には必然的にこの機動に入っていきます。
・ポイントは、きっちり上昇する事です。あせって降下後に少ない上昇しか出来なかった場合、降下によるエネルギー補充が少なくなるため、相手より先にエネルギー切れとなり負けます。


リバース ハーフ キューバンエイト
・水平飛行から、45度に急上昇し、180度ロールして背面急降下、そのままスティックを引き続けて機体が水平になったら水平飛行に移る機動です。
・相手がエネルギー優位でどんどん背後に迫ってくる場合で、高度が十分にある場合に使います。
・あまり速度が乗っているときに使うと引き起こしの時にブラックアウトしますので、注意が必要です。

スライスターン
・水平飛行から左右どちらかに135度ロールし、スティックとラダーを使って斜め下に抜けていく機動です。
・基本的に6時に疲れたときに相手に撃たれないために
使用しますが、降下するためエネルギーが生まれるのと、回避後に相手との相対角が深くなるので、高度が無い場合等には、シザースやローリングシザースに持ち込む場合があります。。


コブラロールwithハーフロールズ
・水平飛行から、45度に急上昇し、180度ロールして背面になり、その角度を維持しつつ急激にスティックを引いて急降下、すかさず180度ロールしてその角度を保ち、水平飛行に移る機動です。
・あまり使っている人はいませんが、エネルギー優位な相手からの攻撃を回避する時に使います。
・特に自分が零戦など低速飛行特性の優れた機体で、相手の
機体が急な上昇、下降に向いてない機体(P-51やFw等)には有効で、最初の急上昇と180度ロールには付いてこれますが、背面からの急降下では旋回半径が膨らむために、次の180度ロールに対応できずに相手との相対角度を得る事ができる場合があります。
・上昇の頂点から背面急降下に入るタイミングは、思いっきりスティックを引いてもブラックアウトしたり、失速しない速度になった時です。
・頂点で敵があきらめて上昇に移れば良し、膨らんで追従してきた場合、他の機動に持ち込む事が可能になりますので、相手の動向から目を離さない事がボイントになります。

[目次に戻る]

■ 攻撃系機動

※各機動名をクリックするとその機動の室内と機外から見た動画を見る事ができます。

リードターン
・相手の進行方向に対して、その先に針路を向けて飛ぶ事を言います。
・旋回の時や、相手に接近するとき、下から突き上げて攻撃するとき、上から被って攻撃するとき、多くの機動で使います。
・これの極端な例として「ツバメ返し」という機動があります。
例えばヘッドオンのような状況(お互いに正面から向かい合って交差する)では、交差する前に180度ターンし、ターン終了後には相手のすぐ後ろにビタっとつける事も可能になりますが、相手との相対速度の読みや反転のタイミングを誤ると、単に急旋回によるエネルギーをロスするだけになるか、先読みしすぎて相手の前に自分が来てしまい撃たれるというマヌケな状況になる難易度の高い機動の1つです。

しかし、相手の進む方向を予想し、そこに自分の機体を持って行くという事自体は、リードターンと考え方は一緒ですから、ツバメ返しの練習は積んで損はないと思います。

ラグパーシュート

この機動は2つの使い方があります。
1つは、敵の死角にもぐりこみ、そこから攻撃するためのもの、もう一つは、深い交差角を作り出し、旋回性能の高い相手のブレークに対応する事です。
・動画では、相手の速度より少し早い速度に上空で一旦調整し、外側に抜けて死角に入ったところで相手の旋回量を見越して射撃していますので、前者の使い方です。
・もう1つは、動画にはありませんが、シザースに入る時など、機動を始める時により有利な角度で相手と交差したい状況で使用します。例えば、直線飛行している相手に対して約45度の角度からラグパーシュートで相手の機体の後ろに向けて交差したとします。このようにした場合、状況にもよりますが 大抵の場合相手も交差時こちらに機首を向けて旋回してきます。
自分の機は浅い角度で相手を照準できますが、相手は一瞬こちらに背中を晒すようにして大きく旋回する事になり、エネルギーを奪う事ができる上に、他の機動との組み合わせによりより有利に相手に戦う事が可能となります。

ハイヨーヨー
・旋回中にウイングオーバーの要領で上昇し、相手の旋回の外側から相手に食い込んでいく機動です。
・自分のエネルギーが十分あり、相手の旋回能力が高くてブレークに追従できない状況で使いいます。
・他の相手がいる場合はエネルギーを消費しますので、機種によっては使わない選択もあります。
・ポイントは、上昇しながら相手の旋回の外側にふくらみ、相手の旋回軌道に対してリードターンしながら、高速を利して近づく事です。
・1回でできない場合は何回も繰り返す事も可能ですが、速度をあまり犠牲すると他の相手に食われますので程ほどに。
・相手に後ろを取られた場合、この機動をきつめにかけると、オーバーシュートを狙えるので、防御系でも使える機動です。(その代わりエネルギーは消費します)
・タイミングとリード角の見極めがキモですが、結構難しい機動の1つです。
・逆の立場で、これを仕掛けられたと分かった時は、旋回の途中で減速したり逆方向にスライスターンすれば、この機動の成功率が極端に減ってきますので、他の機動と同様、相手の動きの観察が重要です。

ローヨーヨー
・旋回の途中で地上側にラダーを少し入れ、バンク角を増やして緩やかに降下し、スピードが乗った時点で急激に旋回側にラダーを入れて機種の向きを旋回の内側に入れ、またゆっくりと上昇をくりかえしてエネルギーを保持しながら旋回する機動です。
・相手の6時についたが、相手が垂直旋回で逃げた場合、エネルギーが足りずに相手に追従できず、相手の旋回性能が高いなど、逆にどんどん食い込まれていくような状況で使います。
・逆に相手に6時に食いつかれそうになり、相手の旋回能力が高く、振り切れないばかりか、エネルギーも少ない場合に使うと相手の技量や状況によってはピンチを脱する事ができる防御系機動としても利用できます。
・高度が無い場合には、格段に最下点でのラダーとロールを使った急激な方向転換ができませんので、非常に高度で繊細な操作が必要となってきます。

ロールアウェイ
私がよくやる機動の1つです。
・ハイヨーヨーと同じように上昇し、相手の旋回方向と逆にバレルロール気味にロールしながら相手の速度に合わせて降下し、相手の軌道の下にもぐってリードターンしながら下から突き上げて攻撃する機動です。
・私は逆にロールするときに相手を見失いやすいため、ロールではなく斜め宙返りに近い形で頂点付近から降りていきます。
これだと、上昇しながら
逆方向にロールしている最中も後ろに相手を見続ける事ができるんですが、エネルギーが当然急激に減りますので、状況により使い分けます。
・動画のようにあまり急上昇して斜め宙返りすると、エネルギー消費が激しく、たとえ6時につけたとしても、
相手が上昇に転じた時にはエネルギー差が逆転していますから、次の機動で今度はこちらが不利になってしまいます。

バレルロールアタック
・エネルギー優位から、相手に攻撃すべく接近していきますが、相手がブレークした方向と逆にバレルロールをして速度を一時的に落とし、相手の旋回角度の外側から下にもぐりこんで上昇しながら攻撃する軌道です。
・相手の機体が高い旋回能力を持っている場合で、こちらはあまり旋回能力が無い機体に乗っていて、エネルギー優位の状況で使います。・
・バレルロールの瞬間相手を見失う事もありますので、圧倒的にこちらが有利な状況の場合で、常に高度差を得る事ができる状況で使います。
・相手から見ると、上昇してバレルロールに入った時点で「一旦攻撃を中断して高度を取り直した」と勘違いして旋回率を緩める事もあるかもしれません。
・ポイントは、バレルロールして降下する時、相手の針路を予測してその未来位置に降下を開始する事ですが、相手はどういう動きをするか想定できる場合をのぞき、全体的に難易度の高い機動と言えます。

[目次に戻る]


[return]